犬アトピー性皮膚炎の減感作療法(免疫療法)とは
2021年01月19日
減感作療法について教えてください
日本ではまだ一般的な治療方法ではありませんが、犬アトピー性皮膚炎に効果が期待できる治療法として注目されているのが減感作療法(免疫療法)。
飼い主自身が注射を実施することが必要になりますが、根気強く取り組めば症状がほとんどなくなることもあります。
減感作療法が適するケース
犬アトピー性皮膚炎と診断され、原因アレルゲンが特定されている場合、「アレルゲン特異的免疫療法(減感作療法)」を行うことを考慮します。
特に生活環境のなかで、アレルゲンとの接触が回避できない犬にとって推奨される治療方法です。
スギ花粉症など季節性のアトピー性皮膚炎であった場合でも、症状の維持に過度の薬が必要であり、副作用の危険性が考えられる時は、減感作療法が適応となります。
減感作療法の方法
減感作療法は、原因となっているアレルゲンの抽出物(エキス)を、徐々に量を増量しながら犬に注射することで、少しずつ体がアレルゲンに慣れていき(免疫寛容)、過剰反応が生じないようになるというもの。
つまり、減感作療法を一言で説明すると、「アレルゲンを体内に入れて、体を慣れさせる方法」です。
若齢時に治療を開始するほうが高齢時に実施するよりも有効性が高く、6~12ヶ月齢に実施した犬の50~80%に有効性が認められています。
アレルゲンの量を短時間に増量する急速報や、低用量法などがありますが、一般的なやり方と比べて優劣に関わる検討は行われていません。
減感作療法の注意点
減感作療法を実施する際に飼い主が考慮すべき点は、治療に約1年間という長期間がかかるために時間的な余裕が必要であることです。
また、アレルゲンを体内に入れることによる過敏反応の危険性を理解して慌てずに対処できること。それに、飼い主自身で注射を実施することが可能であることが条件です。
減感作療法の推奨される点は、アトピー性皮膚炎の症状がほとんどなくなる場合があることです。
減感作療法のメリット
- アトピー性皮膚炎の症状がほとんどなくなる可能性がある。
- 若齢期での治療効果が非常に高い。
減感作療法のデメリット
- 治療に約1年間という長期間かかる
- 飼い主自身が注射を行う必要がある
- アレルゲンを体内に入れることで、過敏反応を起こすリスクがある
- 日本では、実施されている動物病院が限られている