犬のアトピー性皮膚炎の9つの判断基準
2020年11月30日
アトピー性皮膚炎の基準について教えてください
アトピー性皮膚炎かどうかを判断するための基準として、9つの診断項目があります。
これまで犬のアトピー性皮膚炎の診断基準は、人の病気の診断基準を応用して行われていました。
その後、人ではなく犬の病気における独自の診断基準が作られるようになり(1998年 Prelaudらが提唱)、2001年にITFCADによって改定されました。
2010年には欧州、北米、南米、日本15カ国34人の獣医皮膚科専門医の協力のもとで、新しい診断基準が作成されました。
※ITFCAD
犬アトピー性皮膚炎国際調査委員会(the International Task force on Canine Atopic Dermatitis, ITFCAD)
ITFCADアトピー性皮膚炎新基準
①発症年齢が3歳以下
②室内飼育
③副腎皮質ステロイド剤に反応してかゆみが治る
④慢性あるいは再発性の酵母菌(マラセチア)による感染がある
⑤前肢端に皮膚症状がある
⑥耳介に皮膚炎症がある
⑦耳の辺縁に皮膚症状がない
⑧腰背部に皮膚炎症がない
⑨最初の症状はかゆみであり、皮膚に異常がない
以上の9項目です。
これらの項目に当てはまる数が多いほど、犬アトピー性皮膚炎である可能性が高くなります。
統計学的には①から⑧のうち5個以上当てはまると、8割の確率で犬アトピー性皮膚炎と診断されます。
ただし、2割は間違う場合があるので、飼い主さんが判断せず、獣医師の診察を必ず受けてください。
犬アトピー様皮膚炎とは
2010年に発表されたITFCADによる犬アトピー性皮膚炎の標準的治療ガイドラインによると、これまでの定義を改め、犬アトピー性皮膚炎に加えて「犬アトピー様皮膚炎」という分類が作られました。
犬アトピー性皮膚炎が、環境因子を主なアレルゲンとし、これに直接結合するIgE抗体が関与する特徴的な皮膚炎症をともなうものであるのに対し、「犬アトピー様皮膚炎」は、犬アトピー性皮膚炎に認められる症状と同じ皮膚炎症をともなう炎症性、瘙痒(そうよう)性皮膚疾患です。
アレルギー検査によって環境あるいは他の因子をアレルゲンとするIgE抗体は検出されません。
あらわれる症状は同じなのですが、違いはアレルゲンに反応するIgE抗体が検出されるかどうかです。
IgE抗体が検出されれば原因となるアレルゲンがわかり治療計画も立てやすくなりますが、犬アトピー様皮膚炎ではそれが難しくなります。
診察や検査によってすべてわかるわけではないことは知っておきましょう。