巨大食道症について
2020年03月16日
巨大食道症について教えてください
巨大食道症とは
巨大食道症は、神経系や筋の病気や内分泌系の病気などにより食道が拡張し、食堂の蠕動運動が低下した状態をいいます。巨大食道症にかかると、食道内に食物のかたまりが常時停滞し、さまざまな障害を引き起こします。
巨大食道症は離乳時期から認められます。食物を摂取した後、これらが食道内に停滞するため、流涎(よだれを流す)や、ゴロゴロという食道運動の音が聞こえて、口臭も認められます。また、食物のかたまりが食道内を逆流するため、嘔吐したり、鼻孔から液体が流出したりします。
さらに、摂取する食事量が減って、栄養失調、成長不良、被毛の粗剛などが認められます。
食道を逆流した食物が誤って気道(鼻から肺に至る呼吸気の通路)内に入ると、誤嚥性肺炎を引き起こして、発熱、咳、粘液性鼻汁、呼吸困難が認められるようになります。(誤嚥とは:水や食物などを誤って気道内に吸い込むこと。
巨大食道症がみられやすい主な犬種としては、遺伝による犬種はミニチュアシュナウザー、ワイヤーフォックステリア。血統によって好発する犬種は、ダルメシアン、ジャーマンシェパード、アイリッシュセッター、バグなどが挙げられます。
巨大食道症の治療
臨床症状の特徴を診た上で、X線検査、食道内視鏡検査などによって、食物の逆流を引き起こすようなほかの病気と区別します。
食事内容は、ゆるいおかゆ状のドライフードを選択します。どのような食事内容がその犬に合っているかは、症状をみながら選択していく必要があります。場合によっては、鼻からの胃カテーテルによる給与を行います。
誤嚥性肺炎や、飼い主の管理不足による栄養失調によって、死に至ることも多いようです。遺伝性の巨大食道症では、成長とともに症状の改善がみられることもあります。
食器の位置の工夫
食物を与える際の食器の位置を工夫しましょう。一般的には、床面に対して45~90度の位置で、犬の届く高さに食器を起き、後肢で立ったままの状態で食物を摂らせるようにします。
これにより、頸部と胸部食道がほぼ垂直となり、食物のかあまりは、重力に従って食道内を下行していくことが可能となります。食事後も5~10分間は、この状態を維持させます。