マラセチア皮膚炎について
2020年01月14日
マラセチア皮膚炎について教えてください
マラセチア皮膚炎とは
マラセチア皮膚炎とは、マラセチア酵母菌が原因で起こる一般的な皮膚の病気で、かゆみを伴います。
ほとんどの犬で感染する可能性がありますが、特にテリアやスパニエル、ハウンド、シープドッグなどの感染が多いようです。
口や顎、外耳道の周囲、頸部の特に腹側、股の間、肉球の間、爪の間、肛門の周囲、尾の特に腹側、などに感染する可能性が高いといえます。
犬が激しいかゆみのため、皮膚を繰り返し掻こうとすることで飼い主は気がつきます。多くの場合、皮膚の肥厚(肥えて厚くなる)、脂肪が多い皮膚、鱗屑(フケ)が出やすい、脱毛などがみられます。
マラセチア皮膚炎がみられやすい主な犬種として、ヨークシャーテリア、ウエストハイランドテリア、アメリカンコッカースパニエル、イングリッシュコッカースパニエル、ミニチュアシュナウザー、ボーダーコリー、シェットランドシープドッグなどが挙げられます。
マラセチア皮膚炎の原因
マラセチア酵母菌は、正常な犬の皮膚にも普通に存在する真菌(いわゆるカビ)ですが、皮脂が過剰に生産される、湿度が高いなど、マラセチア酵母菌が増殖しやすい状況では、激しいかゆみを伴いながら感染する可能性があります。
一度マラセチア酵母菌に感染して病変が現れると、皮膚表面を変化させてマラセチア酵母菌をさらに増殖させます。
マラセチア皮膚炎の治療
マラセチア皮膚炎の疑いがある場合は、皮膚の細胞診を行ってマラセチア酵母菌を確認し、抗酵母治療薬や全身性坑酵母薬によって治療します。また、皮膚掻爬検査、皮膚糸状菌の培養などによって、寄生虫や皮膚糸状菌の可能性を除外します。
経口薬や外用薬を投与すると、皮膚にかゆみ、湿疹、膿疱、水疱、壊死がでたり、嘔吐、下痢、肝臓に対する毒性、血管炎などが認められることがあります。犬を観察していてなにか異常を見つけたら、ただちに獣医師に連絡しましょう。
※細胞診とは:病気が疑われる部分の細胞を採り、顕微鏡で観察して、何の病気かを診断する検査法
※皮膚掻爬検査とは:皮膚を削り取って顕微鏡で観察する検査法
マラセチア皮膚炎の予防
湿度の高い環境でマラセチア皮膚炎にかかりやすいので、十分な注意が必要です。また、マラセチア皮膚炎は、犬をはじめとして猫やフェレットにも感染しますが、特に免疫不全の人に感染する可能性が高い病気といえます。マラセチア皮膚炎は人畜共通感染症「ズーノーシス」です。