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脂漏症(しろうしょう)について

脂漏症(しろうしょう)について教えてください

脂漏症(しろうしょう)とは

フケが異常に多く出たり、あるいはフケが脂肪のようにねっとりとしている皮膚の病気を脂漏症といいます。脂漏症は、犬に最も多く見られる慢性の皮膚角化障害で、原発性角化異常に分類されます。(原発性とは:ほかの病気の結果としてではなく、それ自体が原因で発生するという意味。対語は続発性)

 

脂漏症は通常、細菌や皮膚糸状菌感染、外部寄生虫の感染、ホルモンの異常、アレルギーなどに伴って二次的にみられますが、これらとは全く関係なく現れる脂漏症もあります。

 

脂漏症を含む原発性角化異常は、通常、遺伝性と考えられています。2~3歳ころにフケなどの症状が現れ始め、その時点で何らかの対策を開始しないと、二次的に細菌感染、真菌感染などを引き起こして症状が悪化します。

脂漏症の症状

脂漏症では、皮膚の最表層を形成している表皮の形成、ケラチノサイトの角化、アポクリン腺や脂腺の機能などに何らかの異常があると、フケが多量につくられます。

 

脂腺の機能異常により、毛包にコメド(ニキビの芯のこと)がつくられ、これが被毛に付着することもあります。コメドは、ケラチンが芯にあって黒色をしています。毛包は、コメドのために拡張します。また、脂性の黄褐色のかたまりが皮膚や被毛に付着することもあります。

 

ひと口に脂漏症といっても、乾性~脂性のフケがみられたり、炎症やかゆみを伴うものまでさまざまです。油っぽい脂漏症(油性脂漏症)が重度になると、脂漏性皮膚炎となります。皮膚の炎症、細菌性毛包症、かゆみを伴って、体のあちこちに病変をつくり、独特な強い酸敗臭(油脂が変質して生じる不快なにおい)を放ち、激しいフケがみられるようになります。

 

慢性になると、皮膚の色の変化、皮膚が硬く厚くなります。梅雨の時期や夏に発生が多く、悪化しやすい傾向があります。

脂漏症がみられやすい犬種

アメリカン・コッカー・スパニエル、バセット・ハウンド、ダックスフンド、ドーベルマン、イングリッシュ・コッカ-・スパニエル、ジャーマン・ジェパード、アイリッシュセッター、ラブラドールレトリバー、シベリアンハスキー、ウエストハイランドテリアなど。

脂漏症の原因

一般的な脂漏症の原因は、表皮基底層のケラチノサイト(角化細胞)が過剰に増殖し、その結果、フケが過剰につくられることによります。表皮や脂腺の基底細胞は、通常の3~4倍の厚さになります。

 

また一部の犬種では、ビタミンA反応性皮膚炎(栄養障害)によって生じるフケが原因の脂漏症もあります。これは、ビタミンAの全身的な欠乏ではなく、表皮における局所的な欠乏や皮膚におけるビタミンAの吸収や利用が、何らかの理由によって妨げられるためと考えられています。

 

ビタミンA反応性皮膚炎が原因の脂漏症は、ミニチュアシュナウザー、ラブラドールレトリバー、チャーニーズ・シャーペイなどが挙げられます。比較的若齢のころから、全身性のフケがみられるようになりますが、ビタミンAの補給によって症状が改善することが特徴です。

脂漏症の予防と治療

被毛の手入れを頻繁にして、日頃のブラッシングと定期的なシャンプーを行うようにします。油性脂漏が軽度の場合には、クロルヘキシジンを含んだシャンプーやヨードシャンプーを使います。油性脂漏が激しい場合には、二硫化セレンなどを含んだ薬用のシャンプーを使います。

 

ビタミンA反応性皮膚炎が原因の脂漏症では、比較的若齢のころから全身性にフケがみられるようになりますが、これはビタミンAの補給によって症状を改善することができます。

 

脂漏症を含む原発性角化異常は、完治することは非常に難しいといえます。そのため、治療の目的は完治ではなく、症状の改善やコントロールになります。

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