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低血糖症について

低血糖症について教えてください

低血糖症とは

低血糖症とは、体のエネルギー源である血糖値が60mg/dl以下の状態をいいます。目立った臨床症状は、通常、血糖値が45mg/dl以下になった場合に認められるようになります。

 

低血糖を引き起こす原因にはさまざまなものがありますが、特に、トイ種の新生児や若齢犬は低血糖を引き起こしやすいことが知られています。

 

最も認められる症状は一定の時間をおいて起こる痙攣発作です。ただし、これは30秒~5分以内の短時間で治まります。ほかには後躯麻痺、虚脱、運動失調、異常行動、昏睡(意識をなくして眠り込む)などといった症状が認められます。

 

該当する犬の飼い主は、あらかじめ、低血糖を引き起こしやすいこと心に留めておきましょう。加えて、低血糖による発作を起こした際の応急手当ての方法を知っておくことです。

 

低血糖症がみられやすい主な犬種は、チワワ、ダックスフンド、ポメラニアン、トイプードル、ヨークシャーテリアなどのトイ種、全犬種の子犬。糖利用過剰な猟犬や妊娠している犬。肝臓の病気にかかっている犬。内分泌系の病気にかかている犬などが挙げられます。

低血糖症の原因

トイ種の特に新生子や若齢犬は、肝臓において、炭水化物の代謝機能が不十分な上、グリコーゲンの貯蔵能力にも限りがあります。このため、体内にエネルギーが十分に行き渡らなくなると重度の低血糖症(血糖値が35mg/dl以下)に陥ります。

 

嘔吐や下痢など、何らかの原因によって短時間(6~12時間)絶食しただけでも、低血糖を引き起こす可能性があります。

低血糖症の治療

低血糖症の診断にあたっては、血液検査によって血糖値を測定します。トイ種に認められる低血糖では、一般的に臨床症状と血糖値の低下以外の初見は認められません。

 

通常は、少量のブドウ糖を持続的に投与する治療を行うことで、低血糖状態を改善したり、低血糖による発作の再発を防ぐことができます。しかし、重い低血糖症が長期間続くと、中枢神経の低エネルギー状態が続くため、回復不可能な中枢神経障害を引き起こして予後不良となってしまいます。

 

低血糖症にならないためには、通常、普通の食事をとっていれば心配はいりません。日常的にエネルギー不足に陥らないよう、随時哺乳を行ったり、規則正しく食事を与えるよういにしましょう。しかし、運動失調や異常行動など何らかの異常が認められた場合は、ただちに動物病院へ連れて行くよういにしましょう。

低血糖による発作の応急手当

発作の最中に、糖分(砂糖や砂糖水)を、犬の頬の内側あたりの口中の粘膜にこすりつけるようにします。ただし、大量の砂糖水を流し込んで飲ませるなどして、急激に多くの糖分を与えてはいけません。

 

すると多くの場合、1~2分ほどで回復傾向が認められるようになります。なお、発作を終えるころ、咬む危険があるので、犬の口中に指を入れたままにしないよう注意します。

 

犬が落ち着いてきたら、何か少量の食事を与えてから、動物病院へ連れて行って診察をうけます。

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