リンパ種について
2019年11月12日
リンパ種について教えてください
リンパ腫とは
リンパ腫は全身のリンパ組織を構成するリンパ球が腫瘍性に増殖したもので、猫では最もよく認められる血液系の腫瘍(猫の全腫瘍の約30%、造血器腫瘍の90%)です。
解剖学的な部位により胸腺縦隔型、多中心型、消化器型、腎型、皮膚型やそのほか(中枢神経系、鼻腔、眼など)に分類されます。
骨髄における増殖はリンパ性白血病でリンパ腫と分けています。
リンパ腫の原因
リンパ腫最大の原因は猫白血病ウイルス(FeLV)です。特に胸腺縦隔型や多中心型リンパ腫は若い猫に多く見られ、約80%がウイルス抗原陽性です。老齢発症する消化器型や皮膚型リンパ種は、FeLV感染率30%未満と低くなります。
完全室内飼育の増加などにより猫のウイルス感染の機会が減少し、リンパ腫の発生頻度や解剖学的分類の割合も変化しています。
リンパ腫の症状
リンパ腫の症状としては、元気消失、食欲喪失、体重減少など非特異的症状のほかに、罹患部位により胸水、呼吸困難、嚥下障害、リンパ節腫大、嘔吐、下痢、肝脾腫、尿毒症、神経症状、失明、鼻出血、鼻汁などの多様な症状が見られます。そのほか、高カルシウム血症、多飲多尿、貧血、出血や感染なども見られます。
リンパ腫の診断
リンパ腫の確定診断は罹患臓器の細胞診、または病理組織検査での腫瘍性のリンパ球増加を確認することになります。
身体検査、血液検査、尿検査、X線検査、超音波検査、遺伝子検査、ウイルス検査、骨髄検査などが正確な解剖学的分類やステージ分類、鑑別診断、病態の把握に必要になります。
リンパ種の治療
抗癌剤による化学療法を中心に治療が行われます。解剖学的部位、ステージ、細胞タイプにより治療への反応は多様です。
胸腺縦隔型や多中心型リンパ腫は治療反応がよく、リンパ腫の症状と病変がなくなた状態が比較的長期に維持されます。
しかし現在、治癒することはまれで、ほとんどは最終的に再発して死亡します。リンパ腫治療の目標は現時点では寛解(完治とは言えないが、病状が治まること)と、できるだけ長い生活の質を維持することです。