甲状腺機能低下症について教えてください
2019年02月13日
甲状腺機能低下症とは
甲状腺とは
甲状腺は、のどに近い器官の外側、左右1つづつあり、中型犬で縦5cm、横1.5cm、厚さ0.5cmほどの小さな器官です。この小さな器官が体の代謝を促進させるための触媒のような働きをする各種ホルモンを産生・分泌しています。甲状腺の機能が低下してしまうと、基礎代謝量が低下し、元気がなくなったり皮膚の新陳代謝が悪くなったりします。猫の甲状腺機能低下症の発生ケースは稀なようです。
甲状腺機能低下症の特徴
犬の甲状腺機能低下症の原因は、自己免疫が過剰に働くことによって、甲状腺の正常な細胞を壊してしまうことによる免疫介在性甲状腺炎が主な原因です。猫の甲状腺機能亢進症とは反対に、甲状腺の機能が低下し、体の細胞が活発に活動・代謝できなくなることにより、脱毛をはじめとする多くの全身症状(肥満、運動性低下、無気力、倦怠感)が現れます。
自己免疫に甲状腺の細胞の破壊がゆっくりと進行し、限界になって初めて症状が現れ、飼い主が気づかないうちに徐々に進行する病気です。一般的に甲状腺機能低下症の発症は4歳以降で比較的大型犬(ゴールデンレトリバー、シベリアンハスキー、アイリッシュセッターなど)に多発する傾向があります。
脱毛や脱毛部の色素沈着などは症例の約80%以上において認められると言われていて、診断の決め手になることが多いです。しかし、近年は検査技術が向上し、早期診断が可能となり、皮膚病変を伴わない症例が増えています。甲状線ホルモン濃度の低下と共にコレステロール血症や軽度の貧血が認められることが良くあります。甲状腺の機能が低下すると、寒さに対する抵抗力が極端に弱くなるのも特徴です。
甲状腺機能低下症の治療
甲状腺機能低下症と診断された場合、甲状腺ホルモンの服用によって体内で不足しているホルモンを補う治療を行います。一般的に、一度甲状腺機能低下症になると治癒は望めないので、一生甲状腺ホルモンの副用が必要となります。甲状腺ホルモンの投与量が多いと、逆に甲状腺機能亢進症を発症する可能性があるので、定期的な血液検査が必要となります。