ビタミン・ミネラルは必要ですか?
2018年07月01日
ペットにもビタミン・ミネラルは必要
猫や犬にもビタミンやミネラルは人間と同様に必要です。
ビタミンは体構成成分やエネルギーにはなりませんが、微量で生体の機能や代謝過程を円滑にする働きを持つ有機化合物です。
体内での合成量だけでは、正常な機能を果たせず欠乏症がでるため、食事から摂取する必要があります。
ミネラルは、生体に含まれる元素のうち、炭素、水素、酸素、窒素を除いたもので、約40種類あります。
ミネラルもビタミン同様にエネルギー源にはなりませんが、骨や歯の構成成分、体液のphや浸透圧の調整、酵素やホルモンの構成成分、酵素反応の活性化や情報伝達作用などの機能があります。
このページではビタミンやミネラルの欠乏により起こる主な症状を解説します。
亜鉛不足による症状
亜鉛の欠乏による皮膚病変は、成長期の犬で多くみられます。
皮膚病変としては、不全角化亢進(皮膚の生まれ変わりが極端に早まること)や皮膚の肥厚、糜爛(びらん)などがあります。
特に肉球のひび割れや糜爛はよく見られる症状です。
動物体に含まれる亜鉛のうちおよそ20%が皮膚に存在しています。
亜鉛は、200種類以上のさまざまな酵素の構成成分として機能し、タンパク質の合成、細胞の増殖や分化などにかかわっています。
亜鉛の欠乏は亜鉛の不足したフードや亜鉛の吸収を阻害するカルシウムやリン、マグネシウムを過剰に含むフードを与えられた場合に生じます。
また、フィチン酸も亜鉛の吸収を阻害します。
植物原料を多く使用しているフードでは、フィチン酸も多く含まれる可能性があるため注意が必要になります。
ミネラルサプリメント(特にカルシウムサプリメント)の過剰投与も亜鉛の吸収を阻害します。
銅不足による症状
銅の欠乏により毛色素の欠乏や被毛色の変化、脱毛や毛の量の減少、つやのない粗い毛などになります。
銅の欠乏は、食事中の不足や利用率の低下、ほかのミネラル(特に亜鉛やカルシウム)の過剰による吸収の阻害によって生じます。
やはり、成長期の動物では不足する危険性が高くなりますので注意が必要です。
ビタミンA不足による症状
ビタミンAは上皮細胞の分化や増殖、被毛の成長にかかわっています。
ビタミンAが不足すると、皮膚や粘膜は潤いを失い、乾燥して傷つきやすくなります。
また、角化亢進や脂漏症を生じる場合があります。
ビタミンAが不足することはめったにありませんが、ビタミンA誘導体(レチノイド)の投与により角化異常や脂漏症の症状が改善される皮膚疾患に、レチノイド反応性皮膚疾患があります。
この場合のビタミンAは、栄養素ではなく治療薬として分類されます。
ビタミンE不足による症状
ビタミンE、特にα-トコフェロールは、抗酸化作用が高く、細胞膜リン脂質中に含まれる多価不飽和脂肪酸がフリーラジカルによって過酸化脂質に変化するのを防いでいます。
また、紫外線による皮膚障害からも皮膚を守ってくれます。
普通のペットフードを食べている犬や猫ではビタミンEが欠乏することはやはり滅多にありません。
現在ほど多くのペットフードが出回っていなかったころには、黄色脂肪症という皮下脂肪の炎症が、不飽和脂肪酸の多い魚(特にマグロなど)を中心とした食事を与えられていた猫で時々見られました。
症状としては、食欲不振や発熱のほか、全身性の傷みによる知覚過敏(触られるのを嫌がるようになる)や、皮下織の凸凹した硬結(変性した脂肪組織)などがあります。
これは、適切な食事への切り替えとビタミンEの投与などによって改善されます。
ビタミンB類不足による症状
ビタミンB群は、栄養素からエネルギーに変換する補酵素としても重要です。
ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB6(ビリドキシン)、ナイアシン、ビオチンは、タンパク質や脂質代謝、脂肪酸代謝に関与しています。
これらが欠乏すると、やはり皮膚や被毛の健康が損なわれ皮膚炎などを生じやすくなります。
各ライフステージに適した総合栄養食を与えられている犬や猫で欠乏することはほとんどありませんが、ビタミンB類の補充が不十分な手作り食を与えられている犬や猫では、ビタミンB類欠乏症を生じる可能性があります。
ビタミンCの過剰投与に注意
犬や猫は、人が体内合成できないビタミンCを体内合成することがきます。
そのため、サプリメントなどからビタミンCを過剰摂取し、それを継続するとシュウ酸カルシウム尿石症を引き起こすことがあります。