療法食を食べさせるコツを教えてください
2018年06月10日
療法食を食べてくれない場合の対処法
多くの犬や猫が療法食を受け入れてくれないということを経験されていると思います。
特に、健康なときでも偏食傾向が強かった動物では、なかなか受け入れてもらうことは困難なことが多いようです。食事を食べてくれないことによるいろいろな弊害を避けるためにも、食べさせる工夫はとても重要なことです。
療法食の食べさせ方
ドライフードの食べさせ方
最も多く行われる工夫としては、ドライフードでは、水やぬるま湯でふやかして与える方法、缶詰では、電子レンジなどで体温より少し低めの温度に温める方法があります。多くの犬や猫では、この方法で食べてくれるようです。
ドライフードに、水やぬるま湯の代わりに、鶏のささみ、ホタテ、鶏ガラなどをゆでて上澄みの油などを取り除いたスープを使う方法や鰹節、煮干のだし汁をかける方法などもあります。(スープ類は、100gあたり多くても7.8kcal未満なのでカロリー過多になることはほとんどないと思います。)
缶詰の食べさせ方
缶詰では、フードをミキサーにかけることや、すり鉢ですってより粒子をきめ細かくすることで、舌触りをよりいっそうなめらかにしてあげる方法もあります。また、ゼラチン(10gあたり約34kca、タンパク質約9g)、片栗粉(10gあたり約33kcal、炭水化物約8g)を使って、少しとろみを増してあげる方法もあります。
好きな形状、性状のフードを与えましょう
療法食を犬や猫に与える場合、それまでペットが食べていた食事のタイプ(ドライやウェット、セミモイスト)や食事の形状(ドライやセミモイストでは、粒の形、大きさ、厚みなど)、性状(ドライでは脆さ、セミモイストでは弾力、缶詰では、ほぐされたものか、ゼリーなどで固めたものか、あるいは、とろみのあるタイプかなど)、また、原材料中の肉や魚の種類などについて調べておくことも重要になります。そして、各疾患に対応したフードのうち、これまでペットが食べていた、食べ慣れていたフードに近い形状や性状のものを選択してあげるようにします。この場合、サンプルを何種類か用意して、そのうち食べてもらえるものを選択する方法があります。しかし、療法食の保管管理などに余裕がないと難しい方法かもしれません、メーカーから出されているパンフレットなどで、食事の形状や性状などの情報を得ておくことも大切なことだと思います。また、療法食を疾患ごとに分類するだけでななく、大まかに高エネルギー・高タンパク質食・中エネルギー・低タンパク質食といったくくりで分類してみると、対応する疾患が異なっても含有成分割合に大きな差がないフードもありますから、フードの選択の幅を広げることもできます。
療法食の注意点
体調の悪いときに食べた食事や無理に食べさせられた食事に対して、嫌悪感を持ち、二度とその食事を食べてもらえないこともあるため(食事に対する忌避反応)、病院に入院中は、動物の体調がある程度回復し、周囲の環境に慣れるまでは、療法食にこだわらず、なるべく食べてもらえるものを与えるようにします。食欲が回復してから、あるいは退院後から徐々に療法食に切り替えてあげてもいいと思います。
同じ疾患に対応した療法食同士を混ぜて与える方法については、メーカーごとにフード独自の特徴があるため行わないほうがよいでしょう。どうしても混ぜて与える場合には、半分づつ混ぜるのではなく、一方のフードをペットが1日に必要とするカロリー量の20%以内とし、残りのカロリー量をもう一方のフードから提供するようにします。フードを混ぜて与えた場合、もしかしたら一方のフードだけを動物の側で選択して食べるということもあります。この場合には、よく食べるほうを選択して与えるようにします。全く療法食を受け入れないペットでは、手作り食についても考慮しなければならないかもしれません。