パピー用、成犬用、シニア用フードに違いはあるの?
2018年05月30日
ライフステージ別フードの違いと特徴
市販されている犬や猫のフードの中には、年齢別の商品があります。
犬や猫は、成長期や高齢期などライフステージが異なると必要する栄養素の配合割合や1日あたりのエネルギー量が異なるからです。また、ライフステージが異なると、その消化吸収力や代謝にも変化を生じるため、それぞれのライフステージを考慮したフードの選択、給与量や与え方が健康管理の鍵となります。このページでは、ライフステージ別フードの違いと特徴をやさしく解説させていただきます。
子犬用フードの特徴
パピー(子犬)用のフードは、体の維持だけでなく成長のためにもエネルギーや栄養素を必要とするため、成犬用フードに比べて、高カロリー、高栄養素になっています。
体構成成分となるタンパク質の含有量も多くなっています。特に、必須アミノ酸のアルギニンの要求量が高くなります。ただし、子犬のうちは、胃の容量が小さく、消化管機能も十分に発達しきっていないため、エネルギー密度(1g当たりのカロリー量)が高く、高消化性(消化率80%以上)のフードになっています。
エネルギー密度を高めるために、脂肪の含有量も多くなっています。また、エネルギー密度の高い食事では、必要なエネルギーを摂取するために食べる量は少なくなるため、フード中に含まれるほかの栄養素の含有割合も多くなっています。
つまり、成犬期に比べて、エネルギーや栄養素が濃縮された食事になっています。
大型犬や超大型犬種の子犬では、急速な成長による発育期整形外科疾患のリスクを考慮して、小~中型犬種の子犬用の食事よりもエネルギーやカルシウム含有量を控えたフードがあります。
シニア用フードの特徴
高齢になると、活動量が低下し、基礎代謝や筋肉量も減少するためエネルギー要求量も少なくなるため、シニア用フードは、成犬期用フードに比べて、エネルギーや脂肪含有量を抑えて作られています。タンパク質の量も腎臓機能に考慮して控えめになっています。また、加齢に伴い体内での合成量が減少する成分や免疫力を維持する成分を配合・強化してあるフードも多いようです。例えば、関節の弾力性・円滑性の保持に必要なコンドロイチン硫酸やグルコサミンを配合したもの、老化や加齢性変化は、細胞が酸化されてサビつくことによっても進行するため、ビタミンEやβ-カロテンなどの抗酸化成分が強化されているフードなどがあります。AAFCO(米国飼料検査官協会)では、高齢犬や猫に対する栄養基準は提供していません。このことから、高齢期(シニア)用フードはパピー用や成長期用フードと比較して、メーカーによってコンセプトや栄養バランスの幅が広いことが考えられます。
キャットフードの特徴
キャットフードの場合、エネルギー量や栄養素含有量が成猫期フードに比べて、成長期用フードでは高くなっているほかに、マグネシウムの低減がされていない点が大きな違いです。マグネシウムは骨の構成成分となるほか、脂肪や炭水化物の代謝や神経筋肉活動に関係しています。マグネシウムの不足は、子猫の正常な成長を阻害します。
適正なフードで適正な体重を保ちましょう
市販のフードには、全成長段階対応フードがありますが、これは基本的には成長期や繁殖期のエネルギーや栄養素要求量を基に設計されているために、成犬期の犬に与えると肥満のリスクが高まります。ただし、成犬期でも食の細い犬や食欲が落ちている場合には、少ない供給量でエネルギーや栄養素の確保ができるため、動物の状態によって有用になる場合もあります。