食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の異なる点
2021年02月18日
犬の食物アレルギーについて教えてください
犬の食物アレルギーの主な症状は皮膚に発症し、体の一部から全身にかゆみや脂漏、細菌感染、外耳炎が認められることです。
つまり、食物アレルギーにおいても犬のアトピー性皮膚炎と同じような症状が現れるということになります。
ただし、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の症状には異なる点もありますので、簡単に説明させていただきます。
犬の食物アレルギーの症状
食物アレルギーでは、下痢や軟便などの消化器症状が出たり、アトピー性皮膚炎では認められないような口周り、背部、肛門~陰部周囲などに皮膚症状を認める場合があります。
スイスにおける報告では、食物アレルギーはアトピー性皮膚炎に比べて外耳炎とマラセチアに感染していることが多く、シェパード犬では肛門周囲瘻(痔ろう)が多く認められると報告されています。
犬の食物アレルギーとアトピーの違い
食物アレルギーの場合、アトピー性皮膚炎とは発症する時期も若干異なります。
これまでの報告から、食物アレルギーの多くは3歳齢未満(特に1歳齢未満は約50%)に発症しますが、アトピー性皮膚炎と違う点は4歳齢から10歳齢までの間に、おおよそ20~30%の犬が発症するということです。
食物に過剰反応を持つ犬は、食事のたびに暴露されていることから、通年性(非季節性)でかゆみが認められ、慢性期のアトピー性皮膚炎に認められるような中等度から重度の皮膚症状が起こっているケースが多く見られます。
食物に過剰反応をもつ犬のうち、7~26%の犬がアトピー性皮膚炎であるというデータもあり、これらの犬は副腎皮質ステロイド剤の投薬によってかゆみが治まらない場合が多いようです。
このように、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーは同じような症状が認められることが多いのですが、少しずつ異なる特徴も持っています。
アトピー性皮膚炎の症状とは別に食物アレルゲンをもっているかを詳しく調べ、鑑別するためには、「除去食試験」と「食物負荷試験」を実施することが必要です。
食物アレルギーと疑われる症状例まとめ
- 下痢や軟便など消化器症状
- 外耳炎やマラセチアの感染
- 口周り、背部、肛門~陰部周囲の皮膚疾患
- 4~10歳齢の比較的高齢でも発症する