アレルギーが起きる仕組みについて
2020年10月19日
アレルギーの仕組みについて教えてください
免疫機能がマイナスに働くのがアレルギー
本来、体に異物(抗原)が侵入してくると、それに対抗する物質(抗体)を作って体を守ろうとする機能が備わっています。これを「免疫反応(抗原抗体反応)」と言います。
良い方向に働いてくれれば、体を病気から守ってくれる免疫として働くこの機能が、動物にとって不利に働いてしまうことがあります。
例えば、何かを食べるとじんましんが発症する、花粉を吸うとくしゃみが出るといった、外来の抗原と体内の抗体が反応して悪い影響が顕著にあらわれたものを「アレルギー」と呼んでいます。
ノミ、ダニ、カビ、花粉、食物中の物質などに対して反応してあらわれた症状を「アレルギー疾患」、皮膚にあらわれれば「アレルギー性皮膚炎」と呼び、原因物質となる抗原のことを「アレルゲン」と言います。
アレルギーは症状を起こすしくみによって、I型反応からⅣ型反応まで4種類に大別されます。Ⅱ型、Ⅲ型は特殊な症状で、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなど犬に多く見られるアレルギー性の疾患は、主にⅠ型のしくみのものを言います。
このⅠ型反応のメカニズムで知っておいてほしいのは、アレルゲン(抗体)が侵入した時に産出される「IgE抗体」がアレルゲンと結合して肥満細胞を活性化させるということ。
活性化した肥満細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出され、これが皮膚などに悪さをします。アレルギー検査では、このIgE抗体を測定するものが一般的な方法になっています。またⅣ型反応(細胞性免疫反応)のしくみもアトピー性皮膚炎などに関与していると言われています。
ただし、このような分類は必ずしもアレルギーのすべてを説明できるものではなく、将来の研究により解明が待たれる部分も多くあります。
また、生活する環境の変化によって、今後アレルギー疾患の要因が増えることも予測され、獣医師でも原因を特定し、治療法を明確にすることは難しいことです。
アレルゲンとなる主な物質
ハウスダスト
環境中のホコリ、ノミやダニ(死骸や糞)など
花粉
主にスギ、ヒノキ、ブタクサなどの花粉
食物
主に牛肉、豚肉、卵、小麦、大豆、鶏肉などのタンパク質
その他
植物、カビ、ゴキブリ、マラセチアなど